在職老齢年金と高年齢雇用継続給付との調整とは?
60歳以降従業員の給料を引き下げる場合、在職老齢年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付を組み合わせることで、本人の手取りを最小限の減少に留め、会社の負担を大幅に減らすことができます。これは、従業員にとても会社にとっても大きなメリットになりますが、この給料と在職老齢年金と高年齢雇用継続給付は複雑な計算式により調整があります。当事務所では、この3つを組み合わせて会社の負担が最も少なく、本人の手取り額が最高となるように様々なシュミレーションを行い、60歳以降の最適賃金を提案いたします。
たとえば、報酬比例部分の年金額が730,000円、60歳時点での給与が340,000円、賞与額が年間270,000円の従業員が、60歳以降給与を209,000円に減額した場合の給与と在職老齢年金、高年齢雇用継続給付を組み合わせた本人手取り額と会社の人件費は以下の通りです。
本人の手取りとの比較
項目 | 60歳到達時 | 変更給与 | 差額 |
給与 | 340,000 | 209,000 | -131,000 |
健康保険 | 15,929 | 9,370 | -6,559 |
介護保険 | 2,550 | 1,500 | -1,050 |
厚生年金 | 26,697 | 15,704 | -10,993 |
雇用保険 | 2,040 | 1,254 | -786 |
社会保険計 | 47,216 | 27,828 | -19,388 |
所得税 | 6,290 | 2,450 | -3,840 |
控除計 | 53,506 | 30,278 | -23,228 |
差引支給額 | 286,494 | 178,722 | -107,772 |
雇用継続給付 | 0 | 30,075 | 30,075 |
在職老齢年金 | 0 | 47,167 | 47,167 |
本人月額手取額 | 286,494 | 255,964 | -30,530 |
本人年間手取額 | 3,656,484 | 3,299,424 | -357,060 |
このケースでは、60歳以降手取りは107,772円の減少となりますが、在職老齢年金から47,167円、高年齢雇用継続給付から30,075円が支給されるため、実質の手取りとしては、月額30,530円、年収では357,060円の減少となります。それに対し、以下の会社の人件費をみると、60歳到達時点での法定福利費を含めた会社の人件費は414,760円、60歳以降の変更後の給与での負担額は263,667円となりますので、月額では151,093円、年間で1,813,116円の負担減となります。
会社の人件費の比較(社会保険料は、賞与額を月額換算した分を含んでいます。)
項目 | 60歳到達時 | 変更給与額 | 差額 | 年間負担 |
賃金 | 340,000 | 209,000 | -131,000 | -1,572,000 |
賞与 | 22,500 | 22,500 | 0 | 0 |
健康保険 | 16,983 | 10,424 | ‐6,559 | -78,708 |
介護保険 | 2,719 | 1,669 | -1,050 | -12,600 |
厚生年金保険 | 28,463 | 17,471 | -10,992 | -131,904 |
雇用保険 | 2,537 | 1,620 | -917 | -11,004 |
労災保険 | 1,087 | 694 | -393 | -4,716 |
人件費計 | 414,760 | 263,667 | -151,093 | -1,813,116 |