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【判例解説】社長、その残業代の計算間違っています!中小企業が見落とす割増賃金の罠
いつもご覧いただきありがとうございます。
社会保険労務士法人ワンステップです。
残業代の計算を「だいたい合っているだろう」と放置していませんか?
実は、中小企業の多くで**“割増賃金の計算ミス”**が発生しています。
この誤り、放置すると未払い残業代請求や労基署の是正勧告に発展しかねません。
今回は、実際の判例をもとに、見落としやすい割増賃金の落とし穴を解説します。
1. よくある「残業代の計算ミス」3つのパターン
❌ ① 固定残業代の扱いを誤っている
「30時間分の固定残業代を払っているから大丈夫」
──そう思っていても、明細・契約書に明確な内訳がないと違法と判断される場合があります。
📚【参考判例】日本ケミカル事件(最一小判 平成24年3月8日)
固定残業代が「基本給の一部」とみなされ、全額未払いと認定された例。
❌ ② 割増率の適用が間違っている
残業=1.25倍、深夜=1.25倍、休日=1.35倍……。
これらを重複して計算しない、または基礎賃金を誤って算出しているケースが多発。
特に、「手当(職務・精勤・皆勤など)」を除外してしまうとNGです。
→ 割増賃金は**「通常の労働の賃金(手当含む)」**を基礎に計算します。
❌ ③ 所定時間・変形労働時間制の誤解
1か月単位の変形制を採用していても、週40時間を超えた分は割増対象になる場合があります。
制度を導入していても「労使協定が未届出」「シフト表が要件不備」だと無効になるケースも。
2. 実際に起きた「未払い残業代トラブル」の判例
【大庄事件(最三小判 平成29年7月7日)】
固定残業代制度を導入していた飲食チェーンが、
就業規則と契約書の記載不備により、全従業員分の未払い残業代を支払命令。
【電通事件(平成29年9月8日 東京高裁)】
管理職の長時間労働による労災認定。
「管理監督者だから残業代不要」と思い込むのは危険。
実態として権限・裁量が小さい場合は、管理職でも割増賃金の対象になります。
3. どう防ぐ?割増賃金トラブル対策
✅ 契約書・就業規則の見直し
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固定残業代を導入しているなら、時間数・金額・超過分支払い方法を明記。
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変形労働制・みなし労働制の運用が実態と一致しているか確認。
✅ 賃金計算システムの設定確認
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割増率・基礎賃金の設定が正しいか再チェック。
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各種手当(精勤・皆勤など)が割増計算に含まれているか確認。
✅ タイムカード・勤怠記録の保存
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3年間の保存義務。
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1分単位の集計や自動丸め設定も、トラブル時に争点になりやすい部分です。
4. ワンステップが選ばれる理由
**社会保険労務士法人ワンステップ(和歌山県和歌山市)**では、
労働時間管理と賃金制度の専門家として、
以下のようなサポートを行っています。
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固定残業代制度の適正設計・契約書ひな形提供
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割増賃金トラブルに強い就業規則の見直し
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労基署是正勧告対応・内部監査・計算チェック支援
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和歌山・奈良・大阪など中小企業の実績多数
5. まとめ
残業代の「計算ミス」は、悪意がなくても違法扱いになります。
特に中小企業では、制度を導入しても「書き方」や「運用方法」のズレで
リスクを抱えているケースが非常に多いです。
今のうちに👇
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契約書・就業規則のチェック
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固定残業代制度の明確化
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割増率と計算基礎の見直し
を行い、未払いリスクをゼロにしておきましょう。
参考リンク
👉 厚生労働省|割増賃金の基礎知識
👉 最高裁判所判例検索システム(日本ケミカル事件など)








