従業員のリスキリング(学び直し)を支援する「人材開発支援助成金」徹底活用ガイド - 社会保険労務士法人ワンステップ/総勢10名超・創業20年超の老舗社労士事務所

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従業員のリスキリング(学び直し)を支援する「人材開発支援助成金」徹底活用ガイド

2025.08.07 コラム

いつもご覧いただきありがとうございます。
社会保険労務士法人ワンステップです。

突然ですが、こんなお悩みはありませんか?

「新規事業を始めたいが、従業員のスキルが追いつかない
DXやグリーン対応に取り組みたいけれど、教育コストが負担に感じる
「今いる従業員に、外部研修を受けさせたいけれど予算がない

そんな課題を抱える企業の皆さまにおすすめしたいのが、厚生労働省の「人材開発支援助成金(リスキリングコース)」です。

この助成金は、企業が新しい分野に進出したり、業務の効率化・高度化を図るために、従業員に外部研修などを通じて新たなスキル(リスキリング)を習得させる際の費用を支援する制度です。

今回は、「人材開発支援助成金(リスキリングコース)」の内容や支給例をわかりやすくご紹介し、従業員の成長を通じて企業の未来を切り開くヒントをお届けします!

人材開発支援助成金(リスキリングコース)とは?

人材開発支援助成金は、事業主が従業員の職業訓練を実施する際に、訓練費用と訓練期間中の賃金の一部を国が助成する制度です。

その中でも「事業展開等リスキリング支援コース」は、

令和4年度から令和8年度までの期間限定制度として創設された助成金です。

(厚生労働省:人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内)

この制度の目的は、新規事業(事業展開)やDX化、グリーン・カーボンニュートラル対応などを見据えた、従業員の専門的な知識・技能の習得(リスキリング)を支援することです。

対象となる訓練内容

具体的に助成の対象となる訓練は以下のとおりです:

  • 新たな製品・サービスの提供や業種転換など、事業展開に伴う訓練
  • 業務効率化やビジネスモデルの変革といった、デジタル・DX化を目的とした訓練
  • 省エネや再生可能エネルギーの導入などグリーン化・カーボンニュートラル化に資する訓練

また、訓練は【OFF‑JT(職場外での教育訓練)】であり、訓練時間は10時間以上が必要です。

申請要件・条件

助成金申請にあたって、以下の要件を満たす必要があります:

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 職業能力開発推進者を選任し、職業能力開発計画を策定して従業員に周知していること
  • 訓練期間中にも従業員への賃金が適正に支払われていること
  • 訓練開始日の1ヶ月前までに、職業訓練実施計画届を労働局に提出すること

この制度を利用すれば、小売業の場合ECサイト構築や運営の研修に係る費用、観光業の場合多言語接客やインバウンド対応の研修に係る費用などなど・・・大幅に削減することができます!

助成額・助成率(中小企業の場合)

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)では、以下の2種類の支給があります:

1】訓練経費の助成

  • 研修費・教材費・会場費・外部講師費用などが対象
  • 中小企業は『75%』の助成率
  • 訓練の総時間数により、上限額が定められています:

訓練時間数

経費助成の上限額

10100時間未満

30万円

100200時間未満

40万円

200時間以上

50万円

複数名実施でも上限は1訓練あたりの金額です。

2】訓練中の賃金助成

  • 訓練に参加している時間に支払う賃金の一部を助成
  • 中小企業の場合、【1人あたり1時間1,000円(20254月改定)】が上限(1人あたり1,200時間、専門実践教育訓練では最大1,600時間まで)

例)3名が100時間の研修を受講した場合: 100時間 × 3 × 1,000円 = 30万円の賃金助成

【その他の条件】

  • 年間(1年度)の支給限度額は1事業所あたり最大1億円
  • 同一訓練で経費助成と賃金助成の両方を申請可能です
  • 対象は雇用保険被保険者であり、役員や業務委託者は対象外

支給例でわかる!実際の助成額

以下は、助成金制度を活用した際の代表的な支給例です。

【支給例100時間の外部研修を5名で実施(ITリテラシー強化)

項目

内容

金額

対象研修

ITリテラシー研修(100時間)×5

外部研修費用(合計)

110万円×5

500,000

経費助成

研修費50万円 × 75%(上限適用)

375,000

賃金助成

100時間 × 5 × 1,000

500,000

助成額合計

経費助成+賃金助成

875,000

【支給例200時間の専門研修を3名で実施(製造現場の自動化)

項目

内容

金額

対象研修

ロボット制御・プログラミング(200時間)×3

外部研修費用(合計)

80万円(上限超過)

800,000

経費助成

上限適用(200時間以上)

500,000

賃金助成

200時間 × 3 × 1,000

600,000

助成額合計

経費助成+賃金助成

1,100,000

リスキリング助成金の活用メリット

教育費用の大幅軽減

助成金により訓練経費の75%、賃金の一部(1時間あたり最大1,000円)が支給されるため、企業にとっては実質的な負担が大幅に軽減されます。

新分野・DXへの対応力向上

従来業務にとらわれず、新たな分野への事業展開や、IT化・省力化といった変革のためのスキルを従業員が身につけることができます。これにより、企業全体の生産性向上や競争力強化につながります。

従業員満足度・定着率UP

学び直しを企業が積極的に支援することは、従業員の自己成長意欲を高め、企業への信頼感やロイヤリティの向上につながります。結果として、離職率の低下や優秀人材の定着にも効果があります。

補助金との併用も可能!

「事業承継・引継ぎ補助金」など、ハード面を支援する補助金と「人材開発支援助成金(リスキリングコース)」を組み合わせることで、人材(ソフト)と設備(ハード)の両面から企業の変革を後押しできます。

併用時は、同一経費を重複して申請しないことがポイントです。

詳しくはこちら

まとめ:助成金で人材育成を!

「人材開発支援助成金(リスキリングコース)」は、従業員の成長を通じて企業の持続的な発展を支援する有力な制度です。

制度を正しく活用することで、企業はコストを抑えつつ、将来に向けた力強い一歩を踏み出すことができます。

助成金や補助金の活用方法でお困りの方は、ぜひ社会保険労務士法人ワンステップまでお気軽にご相談ください!

📞 073‑488‑4277 お電話お待ちしております!

 
執筆者情報
社会保険労務士法人ワンステップ 代表社員 社会保険労務士 千田佳昭
保有資格社会保険労務士 行政書士
専門分野助成金申請サポート 人事労務サポート
一言当法人は2005年に創業し、その後2019年に社会保険労務士法人ワンステップへと法人化しました。創業から15年を超えても一貫して「人事労務の手続きサポート・助成金の積極提案」を主軸に取り組んできました。 人事労務のサポートを通じてより良い企業づくりと、それを通じた地域の発展を支援することが当法人の役割です。お客様のため、地域のために何ができるか日々研究し、実践しています。 お困り事があれば、まずはお電話やメール等でお気軽にお問い合わせください。
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