当法人の労務相談顧問は、「迅速なレスポンス」、「杓子定規ではない寄り添った回答」が特徴で、法改正内容や対応事項のような基本的なところから労使間のトラブルの対応方法、問題社員への対応方法等多くの相談に対応しております。
「おとなしいけど仕事が遅い…」能力不足の社員にどう向き合う?指導と解雇の境界線
いつもご覧いただきありがとうございます。
社会保険労務士法人ワンステップです。
和歌山の中小企業様から、次のようなご相談をよくいただきます。
-
・真面目だが仕事のスピードが遅い
-
・注意しても改善が見られない
-
・解雇を検討しているが、法的に大丈夫か不安
能力不足の社員対応は、対応手順を誤ると不当解雇になる典型分野です。
今回は、指導と解雇の境界線を実務目線で解説します。
1. 「能力不足」だけで解雇はできる?
結論から言うと、
「仕事が遅い」「能力が低い」という理由だけでの解雇は、原則として認められません。
裁判実務では一貫して、
-
・解雇は最終手段か
-
・改善の機会を十分に与えたか
が厳しく判断されます。
つまり、
指導や配慮を行わずに行う解雇は、ほぼ無効になると考えるべきです。
2. 会社がまず行うべき「正しい指導」
✅① 業務内容と評価基準を明確にする
「仕事が遅い」という評価だけでは不十分です。
-
・何を
-
・どのレベルで
-
・いつまでに
達成すべきかを 具体的・客観的に提示 します。
❌「もっと頑張れ」「普通はできる」は評価になりません。
✅② 指導内容は必ず記録に残す
裁判では、
👉 指導の事実を客観的に示せるか
が非常に重要です。
-
・面談記録
-
・改善指示書
-
・注意書
などを文書で残します。
✅③ 配置転換・教育の検討
裁判例では、
「配置転換や教育など、他にできる配慮を尽くしたか」
が必ずチェックされます。
-
・業務内容の変更
-
・研修・OJT
-
・業務量の調整
を行った事実が、会社防衛につながります。
3. それでも改善しない場合、解雇は可能?
次の条件が 総合的に満たされた場合 に限り、
解雇が有効と判断される可能性があります。
-
・長期間にわたり指導を継続している
-
・改善の機会を複数回与えている
-
・業務遂行能力の不足が客観的
-
・配置転換・教育などの配慮を尽くしている
-
・就業規則に解雇事由の定めがある
👉 裁判例検索(裁判所公式)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1
※ 「おとなしい」「トラブルを起こさない」ことと、解雇の可否は無関係 です。
4. 実務上おすすめの現実的な対応策
いきなり解雇ではなく、以下の選択肢が取られることが多いです。
-
・配置転換・職務変更
-
・降格(※就業規則の根拠が必要)
-
・合意退職(話し合いによる円満解決)
特に合意退職は、
適切な手順を踏めば紛争リスクを大きく下げられます。
5. 会社がやってはいけないNG対応
次の行為は、不当解雇・パワハラ認定のリスクがあります。
-
・感情的な叱責
-
・人前での注意・人格否定
-
・記録を残さず解雇
-
・「能力が低いから辞めてほしい」と圧力をかける
-
・就業規則に根拠がない処分
-
一見おとなしい社員でも、
後から労務トラブルになるケースは少なくありません。
6. 和歌山の中小企業が今すぐ整えるべきこと
-
・指導・評価基準の明文化
-
・面談・指導記録の運用
-
・就業規則(解雇・懲戒規定)の整備
-
・管理職への指導方法の統一
これらがないまま対応すると、
解雇トラブルに発展する確率が一気に高まります。
7. ワンステップに相談するメリット
**社会保険労務士法人ワンステップ(和歌山県和歌山市)**では、
-
・能力不足社員への指導フロー設計
-
・改善指示書・面談記録の文面作成
-
・解雇・合意退職のリスクチェック
-
・就業規則・評価制度の見直し
など、「解雇に至らないための実務」から支援しています。
👉 社会保険労務士法人ワンステップ公式サイト
https://www.onestep-sr.jp/
8. まとめ
能力不足の社員対応で重要なのは、
感情ではなく、手順と記録です。
-
能力不足=即解雇は不可
-
改善機会の提供が最重要
-
会社側の「努力」が判断の分かれ目
迷った時点で、早めに専門家へ相談することが
最大のリスク回避策になります。







