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「おとなしいけど仕事が遅い…」能力不足の社員にどう向き合う?指導と解雇の境界線

2025.12.22 コラム

いつもご覧いただきありがとうございます。
社会保険労務士法人ワンステップです。

和歌山の中小企業様から、次のようなご相談をよくいただきます。

  • ・真面目だが仕事のスピードが遅い

  • ・注意しても改善が見られない

  • ・解雇を検討しているが、法的に大丈夫か不安

能力不足の社員対応は、対応手順を誤ると不当解雇になる典型分野です。
今回は、指導と解雇の境界線を実務目線で解説します。


1. 「能力不足」だけで解雇はできる?

結論から言うと、
「仕事が遅い」「能力が低い」という理由だけでの解雇は、原則として認められません。

裁判実務では一貫して、

  • ・解雇は最終手段か

  • ・改善の機会を十分に与えたか

が厳しく判断されます。

つまり、
指導や配慮を行わずに行う解雇は、ほぼ無効になると考えるべきです。


2. 会社がまず行うべき「正しい指導」

✅① 業務内容と評価基準を明確にする

「仕事が遅い」という評価だけでは不十分です。

  • ・何を

  • ・どのレベルで

  • ・いつまでに

達成すべきかを 具体的・客観的に提示 します。

❌「もっと頑張れ」「普通はできる」は評価になりません。


✅② 指導内容は必ず記録に残す

裁判では、
👉 指導の事実を客観的に示せるか
が非常に重要です。

  • ・面談記録

  • ・改善指示書

  • ・注意書

などを文書で残します。


✅③ 配置転換・教育の検討

裁判例では、

「配置転換や教育など、他にできる配慮を尽くしたか」
が必ずチェックされます。

  • ・業務内容の変更

  • ・研修・OJT

  • ・業務量の調整

を行った事実が、会社防衛につながります。


3. それでも改善しない場合、解雇は可能?

次の条件が 総合的に満たされた場合 に限り、
解雇が有効と判断される可能性があります。

  • ・長期間にわたり指導を継続している

  • ・改善の機会を複数回与えている

  • ・業務遂行能力の不足が客観的

  • ・配置転換・教育などの配慮を尽くしている

  • ・就業規則に解雇事由の定めがある

👉 裁判例検索(裁判所公式)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1

「おとなしい」「トラブルを起こさない」ことと、解雇の可否は無関係 です。


4. 実務上おすすめの現実的な対応策

いきなり解雇ではなく、以下の選択肢が取られることが多いです。

  • ・配置転換・職務変更

  • ・降格(※就業規則の根拠が必要)

  • ・合意退職(話し合いによる円満解決)

特に合意退職は、
適切な手順を踏めば紛争リスクを大きく下げられます。


5. 会社がやってはいけないNG対応

次の行為は、不当解雇・パワハラ認定のリスクがあります。

  • ・感情的な叱責

  • ・人前での注意・人格否定

  • ・記録を残さず解雇

  • ・「能力が低いから辞めてほしい」と圧力をかける

  • ・就業規則に根拠がない処分

  • 一見おとなしい社員でも、
    後から労務トラブルになるケースは少なくありません。


6. 和歌山の中小企業が今すぐ整えるべきこと

  • ・指導・評価基準の明文化

  • ・面談・指導記録の運用

  • ・就業規則(解雇・懲戒規定)の整備

  • ・管理職への指導方法の統一

これらがないまま対応すると、
解雇トラブルに発展する確率が一気に高まります。


7. ワンステップに相談するメリット

**社会保険労務士法人ワンステップ(和歌山県和歌山市)**では、

  • ・能力不足社員への指導フロー設計

  • ・改善指示書・面談記録の文面作成

  • ・解雇・合意退職のリスクチェック

  • ・就業規則・評価制度の見直し

など、「解雇に至らないための実務」から支援しています。

👉 社会保険労務士法人ワンステップ公式サイト
https://www.onestep-sr.jp/


8. まとめ

能力不足の社員対応で重要なのは、
感情ではなく、手順と記録です。

  • 能力不足=即解雇は不可

  • 改善機会の提供が最重要

  • 会社側の「努力」が判断の分かれ目

迷った時点で、早めに専門家へ相談することが
最大のリスク回避策になります。

執筆者情報
社会保険労務士法人ワンステップ 代表社員 社会保険労務士 千田佳昭
保有資格社会保険労務士 行政書士
専門分野助成金申請サポート 人事労務サポート
一言当法人は2005年に創業し、その後2019年に社会保険労務士法人ワンステップへと法人化しました。創業から15年を超えても一貫して「人事労務の手続きサポート・助成金の積極提案」を主軸に取り組んできました。 人事労務のサポートを通じてより良い企業づくりと、それを通じた地域の発展を支援することが当法人の役割です。お客様のため、地域のために何ができるか日々研究し、実践しています。 お困り事があれば、まずはお電話やメール等でお気軽にお問い合わせください。
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